ダイバーは納豆に注意?!

【2022.03.16】

日本が誇る健康食品、納豆。皆さんは、普段納豆を食べますか?

今回は、普段納豆を食べるダイバーの方には特に知ってもらいたい、ダイビングと納豆の関係についてお話します。

それは、これからの時期に増えるクラゲと密接な関係があります。

クラゲは、触手に標的がふれると、触覚細胞内にPGA(ポリガンマグルタミン酸)という物質を産生し、その浸透圧作用により毒針を標的に差し込みます。

実は、納豆菌も、その発酵過程でPGAを産生します。こんなところに、クラゲと納豆のネバネバの意外な共通点があります。

ダイバーがクラゲに刺されたためにPGA物質にアレルギー反応を起こすようになった場合、納豆を食べることによって、じんましんや呼吸困難等の重篤なアナフィラキシーショックを起こすことがあります。

この納豆とクラゲの関係は、ここ数年間の間に明らかになった共通点ということで、まだあまり認知されていないようにも感じます。

PGAは、納豆菌が行う大豆の発酵過程で作られるわけですから、血液で大豆に対するアレルギーの有無を調べても検出がされないとのこと。

しかもPGAは、納豆以外にも調味料や健康飲料、スポーツ飲料などに含まれているほか、化粧品や石鹸、ヘアケア用品等にも添加されている場合があります。最近では、クラゲや納豆だけではなく、それらが原因と思われる症例も報告されているそうです。

この納豆アレルギー、厄介なのは「遅発性のアレルギー」だということ。

食べた後、腸の中で「PGA」はゆっくりと時間をかけて放出されて、体内に吸収され、アレルギーを引き起こします。

食物アレルギーは通常、食べて2時間以内に症状が出るそうですが、納豆アレルギーの場合では5~14時間後と、発症までに時間がかかります。 そのため、本人も原因特定ができずに苦しんでしまうことが多いようです。

PGAは大きな分子で、腸内での分解に時間がかかるためのようですが、もしも朝食べた納豆によって、発症したのが水中でダイビング中だったら、、、?陸上だとしても、医療機関が遠い海のポイントだったら、、、?と、考えるだけで恐ろしいです。

私達がこの事実を知ったのは、この納豆アレルギーによって、命の危機を経験することになり、無事乗り越えたSRJメンバーの方がいるからです。

そのSRJメンバーの方は、年間を通して毎月頻繁に潜るアクティブなダイバーです。数年前に納豆とクラゲが原因で、深刻なアナフィラキシーショックを起こし、意識を失い緊急入院しました。

じんましんが酷くなり病院に到着した際に意識を失い、すぐに処置を受けることができたので、幸い今では元気にダイビングを再開しています。

とはいえ、ダイビングではクラゲ対策が必須ですし、PGAの含まれる食品を食べることや日用品の使用ができなくなってしまいました。

納豆が大好きだった方なので、残念そうでしたが、意識を失った時のことを考えると二度とあんな経験はしたくないとおっしゃっていました。

ダイバーである私達はクラゲとの接触は避けられません。ましてや小さく透明なクラゲだと、目の前にいることすら気付かずに刺されてしまっていたなんてことも、あると思います。

これからの季節は、クラゲが多くなる季節です。ダイバーは納豆を始めとするPGA物質の摂取には慎重にならなければいけません。

万が一アナフィラキシーショック症状が出てしまった場合には、クラゲに刺されているかもしれないダイバーであることを医療機関には必ず伝える意識も、アレルゲン特定には重要な情報なので、ダイバー一人ひとりが知っていくことが大切ですね。

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